データ取得・指標計算ロジック
最終更新日: 2026年8月7日
1. データソース
- 財務データ: 金融庁 EDINET(電子開示システム)から取得した有価証券報告書・半期報告書・四半期報告書(制度変更前の過去分)の XBRL データ。2024年度以降の制度変更により上場会社の四半期報告書は廃止され、中間決算は半期報告書として提出されます。第1・第3四半期の業績は取引所の決算短信で開示されるため、EDINET 経由の当サイトでは取得対象外です。
- 株価データ: Stooq から取得した日本上場銘柄の終値時系列。
- セクター区分: 東証業種分類コードを基準に補正したマッピング。
2. データ取り込みの流れ
- EDINET からの自動ダウンロード(日次バッチ、UTC 21:00 / JST 06:00 目安)
- XBRL → CSV 変換 + tag_catalog による項目正規化
- IFRS / JGAAP の概念マッピング(cross-standard resolution)
- 派生指標の計算(30 種の alias + 5 種の derived item)
- KPI 計算 → PostgreSQL マテリアライズドビュー更新
取り込みが正常に完了した最新 run の基準日は データ更新状況 から確認できます。
3. 連結優先・単体優先の方針
連結財務諸表が公表されている企業は 連結ベースの数値を優先します。連結を作成していない企業(単体決算のみの企業)は単体ベースで集計します。同一 doc_id 内に連結・単体が併存する場合は、連結を最優先で採用します。
4. IFRS / JGAAP の差分処理
IFRS 適用企業と JGAAP 適用企業では同一概念を異なるタグで開示する場合があります。Zaimiru では concept_mapping.yaml による cross-standard 解決を実装しており、可能な限り両基準を同一指標として比較できるようにしています。ただし会計方針の本質的な差(のれん償却、リース処理等)は完全には埋められないため、業種比較・個別企業評価では基準差にご留意ください。
5. 主要指標の計算式
| 指標 | 計算式 | 備考 |
|---|---|---|
| PER | 株価 ÷ EPS(直近通期) | EPS は有価証券報告書記載の基本 EPS(親会社株主に帰属する当期純利益 ÷ 期中平均株式数、自己株式控除後)を連結優先で採用。未記載時のみ 親会社株主帰属利益 ÷ 期末発行済株式数で近似(概算注記付き)。負値・特別損益による歪みに注意。 |
| 売上成長率 | (当期売上高 − 前期売上高)÷ 前期売上高 | 前年同期比。基数効果を避けるため +1000% 超はランキング・横断集計から除外。 |
| PBR | 株価 ÷ BPS(直近期末) | BPS は有価証券報告書記載の 1 株当たり純資産(自己資本 ÷ 期末株式数、自己株式控除後)を連結優先で採用。未記載時のみ 自己資本(純資産 − 非支配株主持分 − 新株予約権)÷ 期末発行済株式数で近似。 |
| ROE | 親会社株主に帰属する当期純利益 ÷ 期首・期末平均自己資本 | 自己資本 = 純資産 − 非支配株主持分 − 新株予約権(自己資本比率と同一基準)。±200% でキャップ。一時的損益による高 ROE には警告フラグ。 |
| 「当期純利益」の使い分け | 連結当期純利益 / 親会社株主に帰属する当期純利益 / 非支配株主に帰属する当期純利益 | 連結決算では 3 つを区別する必要があります。当サイトでは ROE・EPS・BPS・配当性向、および概要タブの主要業績とその前年比は 「親会社株主に帰属する当期純利益」を用います(株主価値の分析に用いるべき利益のため)。 一方、財務諸表の「当期純利益」欄と当期純利益率(純利益 ÷ 売上高)は連結当期純利益 (非支配株主に帰属する分を含む)です。財務タブでは両方を併記しています。 両者は連結企業の約 10% で 10% 以上乖離し、成長率では符号が逆になる企業もあるため、 画面上は必ずどちらの利益かを明示しています。 単体決算(連結を作成しない企業)では「当期純利益」の 1 つのみで、この場合は 概要タブも「当期純利益」と表示します。 |
| ROIC | NOPAT ÷ 投下資本 | 投下資本 = 自己資本(純資産 − 非支配株主持分 − 新株予約権、ROE・自己資本比率と同一基準)+ 有利子負債。NOPAT は営業利益×(1-実効税率)。 |
| 営業利益率 | 営業利益 ÷ 売上高 | 金融業(銀行・保険・証券)は売上概念が異なるため業種内比較を推奨。 |
| 配当利回り | 1株当たり配当(DPS)÷ 株価 | 15% 超は株価データの陳腐化・特別配当・株式分割の未調整による算出不良とみなし、ランキング・横断集計から除外。個別ページでは「要確認」注記。 |
| FCF(簡便) | 営業 CF + 投資 CF | 当サイトの FCF は簡便モデル(営業CF+投資CF)です。CapEx(設備投資額)を個別開示しない企業が多いため、投資CF全体を用います。この値は M&A・子会社株式や資産の売却収入も含むため、設備投資のみを差し引く狭義 FCF(営業CF − 設備投資額、fcf_strict)とは一致しません。設備投資額が取得できる企業では、財務諸表ページのキャッシュフロー欄に「フリーキャッシュフロー(狭義)」を併記しています(例: 清水建設 1803 の 2026年3月期は簡便 +347.81 億円/狭義 −570.15 億円)。簡便 FCF がプラスでも狭義 FCF がマイナスなら、そのプラスは本業ではなく資産売却等の投資 CF に由来します。 |
| EV / EBITDA | (時価総額 + Net Debt) ÷ EBITDA | Net Debt = 有利子負債 − 現預金。金融業は適用外。 |
| 自己資本比率 | 自己資本 ÷ 総資産 | 連結ベース。自己資本 = 純資産 − 非支配株主持分(− 新株予約権)。純資産(総資産 − 負債合計)とは別概念で、財務諸表ページでは両方を併記しています。 |
| Z-Score | Altman Z-Score(製造業向け4変数モデル) | 金融・公益・不動産業では信頼性が低下するため、業種特性に応じた解釈が必要。 |
| F-Score | Piotroski F-Score(9 項目スコア) | 収益性・安全性・効率性の総合。 |
| 簡易モデル評価額(DCF) | 簡便 FCF(営業CF+投資CF、fcf_cfo_plus_cfi_v1)× ゴードン成長モデル ÷ 発行済株式数 |
上記の簡便 FCF をそのまま用いるため、M&A・資産売却などの一過性の投資収支が理論価値に影響します。 適用除外: 金融業等の業種別 WACC 対象外/FCF 履歴が 3 期未満/直近 FCF が 0 以下/ 過去 3 期中 2 期がマイナス/直近の FCF 変動率が 200% 超/ 直近 FCF が過去 5 期中央値の 3 倍超(資産売却・M&A 等の一過性要因が支配的とみなす)/ 過去 5 期の FCF 中央値がマイナス/ 狭義 FCF(営業CF − 設備投資額)がマイナスで簡便 FCF と符号が逆(簡便 FCF のプラスが資産売却等に由来するとみなす)/債務超過/ 継続価値が企業価値の 90% 超/算出した株主価値が 0 以下。 いずれかに該当する場合は数値を表示せず理由を明示します。 割引率・成長率の感応度は個別企業ページで確認できます。 |
計算に用いる主な XBRL 要素(出典トレース)
各指標は、EDINET の有価証券報告書に含まれる以下の XBRL 要素(タクソノミ要素名)から算出しています。 会計基準(日本基準 / IFRS / 米国基準)により対応するタグは異なり、下表は日本基準の代表例です。 株価は Stooq 由来のため XBRL 要素を持ちません。1 株当たり指標(EPS・BPS)は有価証券報告書サマリの XBRL 要素(BasicEarningsLossPerShare / NetAssetsPerShare 系)を連結優先で採用します。
| 指標 | XBRL 要素(日本基準の例) |
|---|---|
| 売上成長率 | 売上高 jppfs_cor:NetSales |
| 営業利益率 | 営業利益 jppfs_cor:OperatingIncome売上高 jppfs_cor:NetSales |
| ROIC | 営業利益 jppfs_cor:OperatingIncome純資産 jppfs_cor:NetAssets非支配株主持分 jppfs_cor:NonControllingInterests有利子負債 jpcrp_cor:InterestBearingDebt |
| PER | 1株当たり当期純利益(基本) jpcrp_cor:BasicEarningsLossPerShareSummaryOfBusinessResults |
| PBR | 1株当たり純資産 jpcrp_cor:NetAssetsPerShareSummaryOfBusinessResults |
| ROE | 親会社株主に帰属する当期純利益 jppfs_cor:ProfitLossAttributableToOwnersOfParent純資産 jppfs_cor:NetAssets非支配株主持分 jppfs_cor:NonControllingInterests |
| FCF | 営業活動によるキャッシュ・フロー jppfs_cor:NetCashProvidedByUsedInOperatingActivities設備投資 jppfs_cor:PurchaseOfPropertyPlantAndEquipment |
| 自己資本比率 | 純資産 jppfs_cor:NetAssets非支配株主持分 jppfs_cor:NonControllingInterests総資産 jppfs_cor:Assets |
| EV / EBITDA | 営業利益 jppfs_cor:OperatingIncome減価償却費 jpcrp_cor:DepreciationAndAmortization有利子負債 jpcrp_cor:InterestBearingDebt現金及び現金同等物 jppfs_cor:CashAndCashEquivalents |
6. 欠損値・外貨建て報告の取扱い
- 必須項目の欠損があった場合、該当指標は「—」表示とし、ランキング・スクリーニングの対象から除外します。
- USD・EUR 等の外貨建てで報告している企業(外国会社含む)は
currency_hintで識別し、JPY 換算未対応である旨をバッジで明示します。 - 計算上の異常値は機械的に検知し、ランキング・横断集計から除外します(2026-06-13 導入の値域ガード)。除外基準: 比率系指標の ±200% 上限クリップ値(実値が確定できないもの)、利益率系の 100% 以上(営業利益が売上を上回る抽出不良)、自己資本比率の 0% 以下・100% 超、配当利回り 15% 超(株価データの陳腐化・特別配当・株式分割未調整に起因する算出不良)、売上成長率の +1000% 超(基数効果)、NetDebt/EBITDA の ±30 倍超(EBITDA が極小だと分母爆発で ±数百倍の異常値になるため)。個別企業ページでは除外せず「キャップ済」等のバッジ付きで表示します。詳細は 訂正履歴 も併せてご参照ください。
7. ランキング・スクリーニングの並べ替え方針
すべてのランキングおよびスクリーニング結果は、機械的な並べ替えであり、銘柄を推奨するものではありません。並び順の根拠(昇順 / 降順、対象指標)はページ上に明示します。データ品質フラグの付いた企業は、ランキングから除外される場合があります。
- 金融業の除外: 収益性(営業利益率)・成長性(売上成長率)・財務安全性(NetDebt/EBITDA)・効率性(ROIC)の各ランキング、四半期モメンタム・黒字転換・TTM 成長率の各ランキング、および財務×株価モメンタム指標比較の合成スコアでは、銀行・保険・証券・その他金融(東証17業種分類の「銀行」「金融(除く銀行)」)を除外します。金融業は売上概念(経常収益・営業収益等)と資本構造が一般事業会社と異なり、これらの指標を同列に並べる意味が乏しいためです。
- 除外を適用しない画面: スクリーニング・散布図・バリュエーションマップ・平均年収ランキング・市場/業種の横断集計は、利用者が条件や業種を自ら指定する道具、または市場全体を俯瞰する目的のため金融業を除外しません。業種を跨いだ比較を行う際は、上記の理由から解釈にご注意ください。財務×株価指標比較で業種に金融業を明示選択した場合も、一般事業会社向けの合成スコアがそのまま適用されます(金融業専用モデルではありません)。
- Altman Z-Score のモデル適用対象: Z-Score は製造業・一般事業会社向けに開発されたモデルのため、金融(除く銀行)・銀行・不動産・電力ガス・運輸物流を集計対象から除外します(ホームのリスクカード、リスクレーダー、市場のスコア分布、Z×F 散布図)。企業ページではこれらの業種にも参考値として表示しますが、その旨の注記を併記します。
- 財務安全性ランキング(NetDebt/EBITDA): 上記に加え、EBITDA が材料性を持つ企業(EBITDA ≥ 10 億円)に限定し、NetDebt/EBITDA が ±30 倍を超える異常値を除外します。EBITDA が極小だと NetDebt/EBITDA が符号・水準ともに無意味になり、ネットキャッシュ × 極小 EBITDA の企業が「返済能力が最も高い」ように化けるためです。
8. 編集方針との関係
本ページは指標の計算ロジックに関するものです。コンテンツ全体の編集方針(投資推奨を行わない・事実/定義/比較に限定する等)は 編集方針 をご参照ください。